お菓子の国ドイツの名物スイーツをめぐる旅
ドイツ銘菓といえばバウムクーヘンがあまりにも有名ですが、ほかにもおいしいお菓子がたくさんあるんです。古くから伝わる郷土菓子や名物ケーキ、クリスマスのお菓子、素朴な焼き菓子……etc.
おいしいスイーツを求めて各地を訪ねた食いしん坊ライターが、これまでに出会ったイチオシを紹介します。どれもわざわざ訪れる価値のある町ばかり。観光もたっぷり楽しめます。次の旅先はお菓子で決めるのもいいかも!?
黒い森のさくらんぼケーキ in バーデン・バーデン
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シュヴァルツヴェルダーキルシュトルテ(Schwarzwälder Kirschtorte )・・・舌をかみそうな名前のこのケーキは、日本語に訳すと「黒い森のさくらんぼケーキ」。その名のとおり、発祥は黒い森地方とされています。可愛い見た目ながら、黒い森特産のさくらんぼの蒸留酒キルシュヴァッサー入りクリームとココア入りスポンジ生地、チェリーを組み合わせた大人の味わい。白いクリームと削りチョコレートが黒い森の雪と針葉樹を表しているともいわれています。
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このケーキを食べるなら、黒い森地方の入り口、バーデン・バーデンがおすすめ。温泉大国ドイツのなかでも古い歴史と絶大な人気を誇り、旅行者でも楽しめる温浴施設が充実しています。
高級保養地にふさわしく、おいしいお店もたくさん。なかでも100年以上の歴史ある「カフェ・ケーニヒ」は、ドイツのグルメ雑誌で「ベスト・カフェ」や「ベスト・チョコレート」に選ばれるなど全国区で知られる名店。本物の紳士・淑女然とした常連客に交じって、優雅なティータイムを楽しめますよ。
フランクフルター・クランツ in フランクフルト
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フランクフルター・クランツ(Frankfurter Kranz)とは、フランクフルトの花輪という意味。載冠式が開催されたフランクフルトを象徴する銘菓で、バタークリームと生地を重ねた風味豊かなケーキです。リング状の全形は王冠を、表面を覆うクロカントで金色を、上にのせたチェリーでルビーを表しています。
ドイツの空の玄関口となるフランクフルトは、多くの人にとってドイツで最初に出会う町。町の中心には銀行や大企業のビルが集まり、ドイツでは珍しく都会的な景観が見られますが、木組み家屋が立ち並ぶレーマー広場などメルヘンな一角もあるんですよ。冬になるとこの広場では、ドイツで最も美しく大きなクリスマスマーケットが開かれます。名物のアップルワインも一度は試してみたいもの。
シュネーバル in ローテンブルク
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ローテンブルクの銘菓、シュネーバル(Schneeball)は、雪の玉という意味。パスタ状の長い生地を丸くまとめ、球状の専用容器に入れて揚げたもので、クッキーのようなサクサクとした食感です。粉砂糖やチョコレート、ナッツがけなど種類も様々。可愛いらしい名前ですが、かなりな迫力とボリュームなので、ミニサイズの方が食べやすくていいかもしれません。
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ロマンチック街道のなかでも日本人に絶大な人気を誇り、観光ツアーのハイライトとしておなじみのローテンブルク。旧市街にはカラフルな木組み家屋が並び、まるで中世のテーマパークのよう。城壁に登ってぐるりと一周してみると、通りとはまた違った角度から美しい町が一望できますよ。
マジパンケーキ「ヌストルテ」 in リューベック
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マジパンというと、日本ではケーキのデコレーションなど脇役のイメージが強いですが、ドイツ人はマジパンが大好き。そのまま食べるのはもちろん、チョコレートの詰め物にしたり、シュトレンやバウムクーヘンなどケーキの生地にも使われる、とてもポピュラーなお菓子なんです。
マジパンの聖地といえば、ドイツ北部のリューベック。以前はマジパンがそれほど好きではなかった私も、老舗「ニーダーエッガー」で食べた新鮮なマジパンのケーキ「ヌストルテ(Nusstorte)」を食べて、美味しさに衝撃を受けました。リューベックを訪れたなら、ぜひとも本物のマジパンを味わってみてください。きっとマジパンの概念が変わると思いますよ!
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バルト海沿岸に位置するリューベックは、かつてはハンザ同盟の盟主として繁栄しました。「ハンザの女王」と呼ばれるほど美しい旧市街は世界遺産にも登録。聖ペトリ教会の展望台からは、レンガ屋根が連なる絶景が望めます。
アイアーシェッケ in ドレスデン
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ドイツ東部、ザクセン地方の名物チーズケーキ、アイアーシェッケ(Eierschecke)。アイアは卵、シェッケはまだらという意味で、焼いたケーキの表面がまだらになることに由来するともいわれています。ドレスデンでは、スポンジ生地、チーズ(主にクヴァルク)、カスタードの3層からなっているものが多くみられます。
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アイアーシェッケを食べるなら、エルべ川沿いの美しい古都、ドレスデンのカフェへ。なかでもおすすめしたいのが、「世界一美しい牛乳屋」としてギネスブックに登録されている「ドレスナー・モルケライ・ゲブリューダー・プフント 」。ヴィレロイ&ボッホ社による手描きタイルで埋め尽くされた店内は息を呑むような美しさ!
牛乳やチーズなどの乳製品はもちろんのこと、かわいいオリジナルグッズが豊富な同店はお土産スポットとしても大人気です。2階のカフェではケーキやランチをゆっくり味わうことができますよ。
■Dresdner Molkerei Gebrüder Pfund
バウムクーヘン in ザルツヴェーデル
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バウムクーヘン(Baumkuchen)……日本で最も親しまれているドイツ語のひとつですね。バウムは木、クーヘンはケーキを意味します。ドイツ銘菓として有名ですが、意外にも当地ではあまりお目にかかることがありません。ドイツにおけるバウムクーヘンは、クリスマスやお祝いに贈る高級菓子という位置づけ。材料など定義がきっちり決められていて、高度な技術が必要とされるため、限られた職人さんだけが作ることができる特別なお菓子なんです。
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本場のバウムクーヘンを食べてみたい!という方は、発祥の地とされるザルツヴェーデルを訪れてみてください。世界最古のレシピを有する「エアステ・ザルツヴェーデラー・バウムクーヘンファブリーク」では、昔ながらのレシピを使って直火で焼き上げるバウムクーヘン作りを見学できるほか、いたるところでバウムクーヘンが食べられる、お菓子好きにはたまらない町なんです。レンガ造りや木組みの建物が並ぶ町で、バウムクーヘンの波乱万丈の歴史に思いを馳せつついただきましょう。